君のとなりで恋をします。─上─
「いいよいいよ。
ここからだと、家逆方向だし…」
「でも…」
「本当に大丈夫!
それに…帰り道、桜河に電話したいんだ。」
電話に出てもらえるかはわからないけど、まだ直接会う勇気もない。
「え、なんで桜河?
…直接会えばいいのに。」
柊吾は不思議そうにそう尋ねる。
そっか。
あの夜の出来事は、私と桜河しか知らない。
「実は、今桜河とも喧嘩中(?)で…
直接会うのはまだ少し気まずいんだよね…
家で電話したら、楓真とかがうるさいし…
できれば外で電話したいんだ。」
自分から距離を置きたいとか言ったくせに、簡単に会いに行ってはいけない気がする。
「そっか…
じゃあ、俺はそのまま帰るけど…
はやく仲直りしなよ?」
そう言って優しく私の頭を撫でる柊吾に、私は大きく頷いた。