君のとなりで恋をします。─上─
「もう、珍しく可愛いこと言っちゃって。」
『は?シバくぞ?』
スマホを通した桜河の声は、いつも以上に低くて迫力がある。
「うそうそ、冗談だよ。
…私も、同じこと言おうと思ってたんだ。」
素直な気持ちを伝えようって意気込んでいたのに…
まさかあの無口と無愛想で有名な桜河に、先を越されてしまうとは。
「…柊吾と付き合えるのは、本当に嬉しい。
ずっと好きだったから。
だけど…好きな人と付き合う事で、他の誰かとの関係を変えるのはなんか違うなって…」
柊吾と桃奈さんの関係を私なりに一生懸命考えて…行き着いた答えがこれだった。
桃奈さんと柊吾が会うのは、正直心の底から嫌だけど…
でも、柊吾が私に気を使って桃奈さんとの関係を絶つのはおかしい。