君のとなりで恋をします。─上─
────────────
桜河の手を引いて、電車にかけ乗る。
『駆け込み乗車はおやめください。』
「うわぁっ!すみませんっ!!」
結局バスには乗り遅れてしまった私達は、〝光雄じいちゃん〟こと桜河のおじいさんに車で駅まで送ってもらった。
「はぁ……ギリギリ、セーフ。」
肩で息をする私の後ろで、涼し気な顔でスマホを触り始める桜河。
…まったく、もう。
誰のせいで駅員さんに怒られたと思ってるの?
「おーい!香純!桜(オウ)ちゃん!
遅いから来ないかと思ったよ〜。」
「ごめんね!咲花!
こいつが全然起きなくて…。」
小柄で可愛らしいこの女の子は、紅林咲花(クレバヤシ サナ)。
くせ毛のゆるふわ栗色セミロングとぱっつん前髪がチャームポイントで、私達が通う私立紅羽学園の理事長の愛娘。