君のとなりで恋をします。─上─
たったの9歳で母親を亡くした可哀想な俺に、誰一人として話しかけようとはしなかった。
…香純以外は。
「泣くか笑うかしなよ。
おばさんも…柊吾がそんなだと、ずーっと安心できないよ?」
そう言って俺の手を握った香純の横顔は、必死に涙をこらえていて…
そんな香純の横顔と温かい手に、何故だか急に涙が溢れてきて…
それから…
父さんが今の義母さんと再婚した日も、
二人の間に優吾が生まれた日も、
俺が辛く寂しい時は、いつもそばには香純がいた。
あの日からずっと、香純は俺の初恋で…