君のとなりで恋をします。─上─
優吾…走るな…
そう言いかけた時には、もう遅かった。
「…わぁ!?」
カーペットと床の僅かな段差につまずいた優吾は、そのまま前に倒れる。
──────バシャァ…
香純の前髪から滴り落ちる水滴。
「きゃ!香純、大丈夫!?」
「わぁぁぁあん!ごめんなさいぃ〜…」
「よしよし、泣かないで〜。
お姉ちゃんは全然大丈夫だよ!」
泣きわめく優吾の頭を、香純は優しく撫でる。
「香純、本当にごめん。…大丈夫?」
「全然平気だよ!
私こそ柊吾の服濡らしちゃってごめんね?」