君のとなりで恋をします。─上─
「やめろって。
見ねぇよ、あほ。」
桜河はそんな咲花の腕を軽く払い除けると、自分の鞄の中を漁りはじめる。
「おい、早く隠せ。見苦しい。」
桜河は自分の鞄から取り出した水泳部のジャージを、こちらに向かって投げた。
「おーい、私のお胸は国宝級だっつーの!」
「…着ねぇの?」
「着ない!」
「じゃあ返せ。」
いつでもどこでも、暇さえあれば喧嘩を始める二人。
それを宥めるのは、いつも俺の役目。
…てゆーか、俺風邪引いてるんですが。