君のとなりで恋をします。─上─
「香純。
風邪引くから、素直に借りときな。」
正直、桜河のジャージじゃなくて、俺の服を
貸したいところけど。
今ここで俺の服を差し出すのもおかしい。
「洗って返すの面倒くさい…。
桜河、柔軟剤の好みがうるさいんだもん。」
ポツリとそう呟いた香純に、一気に笑いが起こる。
「ぶぁははははっ…
洗って返すのが面倒って…
香純、その発言は女として有り得ねーわ!」
「ふふ…桜ちゃんって匂いフェチなの?
可愛い〜♡」
「フェチじゃねぇよ。こだわりだ。」
俺も思わず笑いをこらえる。
…借りたくない理由が香純らしすぎる。
洗って返すのが面倒くさいって…