ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます
「……んん……っ」
白ワインの、味がする。夢を見ているようなぼんやりとした頭で、キスが気持ちいいと思っている自分がいた。
――アッシュさんって、こんなに、キスがうまかったんだ。
身体の力がするすると抜けていって、されるがままになる。
もう、逆らう気がなかった。心の中まで絡め取られるようなキスに、このままずっと犯されていたいと思った。
どれくらいの時間、そうしていたのだろう。私の口の中の温度も、アッシュの口の中の温度も、混ざり合ってすっかり同じ熱さになったくらいの時が過ぎた。
「は……ぁっ。アッシュ、さん……」
唇が離れた瞬間に息継ぎをして、あえぐようにつぶやくと、アッシュの動きがぴたりと止まった。
閉じていたまぶたをうっすら開けると、アッシュが目を見開いたまま硬直していた。
「あ、あの? アッシュさん?」
アッシュの手が離れたので、覆いかぶさっていた身体を起こしてソファの前に膝立ちになる。
「俺は……今、何を……。まさか……」
ぶつぶつと呟いているアッシュの顔が、赤から蒼白に変わっていた。
桃色の霧と甘い匂いも、夢から醒めるみたいにさーっと引いていく。
「――ケイト!」
がばっと起き上がったアッシュが、ソファの上で正座し、勢いよく頭を下げる。
「すまない!!」
「……へ?」
さっきまでの甘い空気とは打って変わったただならぬ雰囲気に、私は呆然とすることしかできなかった。
白ワインの、味がする。夢を見ているようなぼんやりとした頭で、キスが気持ちいいと思っている自分がいた。
――アッシュさんって、こんなに、キスがうまかったんだ。
身体の力がするすると抜けていって、されるがままになる。
もう、逆らう気がなかった。心の中まで絡め取られるようなキスに、このままずっと犯されていたいと思った。
どれくらいの時間、そうしていたのだろう。私の口の中の温度も、アッシュの口の中の温度も、混ざり合ってすっかり同じ熱さになったくらいの時が過ぎた。
「は……ぁっ。アッシュ、さん……」
唇が離れた瞬間に息継ぎをして、あえぐようにつぶやくと、アッシュの動きがぴたりと止まった。
閉じていたまぶたをうっすら開けると、アッシュが目を見開いたまま硬直していた。
「あ、あの? アッシュさん?」
アッシュの手が離れたので、覆いかぶさっていた身体を起こしてソファの前に膝立ちになる。
「俺は……今、何を……。まさか……」
ぶつぶつと呟いているアッシュの顔が、赤から蒼白に変わっていた。
桃色の霧と甘い匂いも、夢から醒めるみたいにさーっと引いていく。
「――ケイト!」
がばっと起き上がったアッシュが、ソファの上で正座し、勢いよく頭を下げる。
「すまない!!」
「……へ?」
さっきまでの甘い空気とは打って変わったただならぬ雰囲気に、私は呆然とすることしかできなかった。