ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます
「光栄です。でも私、本当に男性には好かれないんですよ。見た目も中身も、ふつうの男性は私みたいなの選ばないですよ」
少しは舞い上がってしまうけれど、社交辞令を本気に取らないくらいの社会性は、入社してからの半年足らずで身に付けてきた。だけど……。
「女が男より強いのは当たり前のことじゃない。女が見た目を演出する理由も、心の内を隠して笑顔でいる強さも、分からない男なんてこちらから願い下げよね」
私の心の内を見透かしたようなその言葉に、思わず笑顔も忘れて有栖川さまの瞳を見つめてしまった。
「有栖川さま……」
「気が変わったら教えてちょうだい。いつでもセッティングするから。じゃあ、また来るわ」
お店の出口まで見送った私に、有栖川さまは微笑んで颯爽と去って行った。
深々と、いつもより長めにお辞儀をする。胸の中がじんと熱くなって、気を抜くと泣いてしまいそうだったから。傷心の今、お客さまにあんな言葉をいただけるなんて反則だ。
――有栖川さまの息子さんだったら、会ってみてもいいかも。
ちょっとだけそう思ったときに、険しい顔の店長に手招きされた。
「桜井さん、ちょっと」
「……あ。はい」
店頭に出ている他のスタッフに断ってから、バックヤードに入る。そっけない態度でうなずかれたのは、有栖川さまの対応が長すぎたせいだろう。
少しは舞い上がってしまうけれど、社交辞令を本気に取らないくらいの社会性は、入社してからの半年足らずで身に付けてきた。だけど……。
「女が男より強いのは当たり前のことじゃない。女が見た目を演出する理由も、心の内を隠して笑顔でいる強さも、分からない男なんてこちらから願い下げよね」
私の心の内を見透かしたようなその言葉に、思わず笑顔も忘れて有栖川さまの瞳を見つめてしまった。
「有栖川さま……」
「気が変わったら教えてちょうだい。いつでもセッティングするから。じゃあ、また来るわ」
お店の出口まで見送った私に、有栖川さまは微笑んで颯爽と去って行った。
深々と、いつもより長めにお辞儀をする。胸の中がじんと熱くなって、気を抜くと泣いてしまいそうだったから。傷心の今、お客さまにあんな言葉をいただけるなんて反則だ。
――有栖川さまの息子さんだったら、会ってみてもいいかも。
ちょっとだけそう思ったときに、険しい顔の店長に手招きされた。
「桜井さん、ちょっと」
「……あ。はい」
店頭に出ている他のスタッフに断ってから、バックヤードに入る。そっけない態度でうなずかれたのは、有栖川さまの対応が長すぎたせいだろう。