ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます
時間があったので、冬服は一から仕立ててもらった。アッシュと相談しながらデザインをあれこれ決めるのは楽しい作業だったし、出来上がった服たちにも愛着がある。
最近お気に入りなのは、スカートがバッスルになっている縦縞のドレス。スーツとスカートをセットアップで着ているような襟のデザインで、この世界にキャリアウーマンがいたらこんな服を着ているんだろうな、っていうようなドレス。紺地に薄い青の縦縞、白いレースとフリルという色合いも落ち着いていて気に入っている。
「ドレス、もとの世界に持って帰れないかなあ。……着て行く場所なんてないけど」
デザインが気に入っているから離れがたいだけで、アッシュが作ってくれたからとか、せめてもの思い出にとかそういうわけではない。
暖炉の火がぱちぱち音を立て始めたころ、三兄弟が出勤してきた。
「おはよ~、ケイト」
いつも一番に走り寄ってくるのはセピア。
「おはよう。あら、今日は髪をまとめてみたのね」
続いて、クラレットがその日の服装についてコメントをくれる。
「うん。このストライプのドレスにはアップのほうが合うかなと思って」
サイドからふたつ編み込みを作って、毛先を留めてリボンで飾っている。もとの世界だったら絶対やらなかったような甘めのアレンジも、ドレスを着ていると違和感なくできてしまう。
「いいんじゃない、可愛くて。今度私にもやり方を教えて」
「うん、もちろん」
「……おはよう」
最後に、ふたりの後ろから音もなく現れるのがアッシュ。
「おはようございます」
三人揃ったところで、お茶を淹れる。ソファでくつろぎながら今日のミーティングをするのがお決まりの流れ。
「ねえねえ、ケイト。今日の夜、予定ある?」
ミーティングのあと、セピアに声をかけられた。
「今日は……、特にないけど」
もったいぶった言い回しをしてみたけれど、この世界に来てから予定なんてあったためしがない。
最近お気に入りなのは、スカートがバッスルになっている縦縞のドレス。スーツとスカートをセットアップで着ているような襟のデザインで、この世界にキャリアウーマンがいたらこんな服を着ているんだろうな、っていうようなドレス。紺地に薄い青の縦縞、白いレースとフリルという色合いも落ち着いていて気に入っている。
「ドレス、もとの世界に持って帰れないかなあ。……着て行く場所なんてないけど」
デザインが気に入っているから離れがたいだけで、アッシュが作ってくれたからとか、せめてもの思い出にとかそういうわけではない。
暖炉の火がぱちぱち音を立て始めたころ、三兄弟が出勤してきた。
「おはよ~、ケイト」
いつも一番に走り寄ってくるのはセピア。
「おはよう。あら、今日は髪をまとめてみたのね」
続いて、クラレットがその日の服装についてコメントをくれる。
「うん。このストライプのドレスにはアップのほうが合うかなと思って」
サイドからふたつ編み込みを作って、毛先を留めてリボンで飾っている。もとの世界だったら絶対やらなかったような甘めのアレンジも、ドレスを着ていると違和感なくできてしまう。
「いいんじゃない、可愛くて。今度私にもやり方を教えて」
「うん、もちろん」
「……おはよう」
最後に、ふたりの後ろから音もなく現れるのがアッシュ。
「おはようございます」
三人揃ったところで、お茶を淹れる。ソファでくつろぎながら今日のミーティングをするのがお決まりの流れ。
「ねえねえ、ケイト。今日の夜、予定ある?」
ミーティングのあと、セピアに声をかけられた。
「今日は……、特にないけど」
もったいぶった言い回しをしてみたけれど、この世界に来てから予定なんてあったためしがない。