ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます
「難しいけれど、不可能な贈り物じゃない気がします」
私が背すじを伸ばして告げると、ウォルは目をすっと細めた。アッシュにフロッキープリントの質問を投げかけたときと同じ、試すような眼差しだ。
「へえ……。なにか策がありそうだね」
「要は、宝石以外できらきらした装飾品ならいいってことですよね。え~っと、ちょっと待っていてくださいね」
いったん席を外し、二階の自分の部屋からポーチを持ってくる。もとの世界から一緒に飛ばされてきたもので、確かこの中に予備のアクセサリーが入っていたはずだ。
ポーチをがさごそあさる私を、紅茶のカップごしにウォルが見ている。
「あった……、これならどうですか?」
テーブルの上に、丸くてころんとしたイヤリングを載せる。
「……透明感があって、きらきらしているわね」
「水晶の中に花が入っているように見えるけれど、この不思議なものはなんだい?」
「これは、レジンアクセサリーです」
「レジン……?」
レジン、という言葉はこの世界にはまだないらしく、ウォルが慣れない外国語のようにおうむ返しする。
「もとの世界にあった装飾品で、透明度の高い樹脂のようなものを固めるんです。中にはドライフラワーとか、ビーズなんかを入れたりして作るんですけど」
首をかしげるふたりに、分かりやすい言葉を選びつつ説明する。
「水晶ではなく、樹脂なのか。それなら確かに宝石ではないね。――手に取ってもいいかい?」
「はい、もちろん」
「私も片方いいかしら」
クラレットとウォルが、イヤリングを片方ずつ手に取ってしげしげと眺めている。
「これはもとの世界の友達が作ってくれたもので、中に小さな薔薇とビーズを入れてくれました」
まんまるでシンプルなイヤリングは誕生日プレゼントでもらったもので、いつでもつけられるように常にポーチに入れていた。この世界に来てからはなくすのが怖くてつけていなかったけれど、何がどう役に立つかわからないものだ。
私が背すじを伸ばして告げると、ウォルは目をすっと細めた。アッシュにフロッキープリントの質問を投げかけたときと同じ、試すような眼差しだ。
「へえ……。なにか策がありそうだね」
「要は、宝石以外できらきらした装飾品ならいいってことですよね。え~っと、ちょっと待っていてくださいね」
いったん席を外し、二階の自分の部屋からポーチを持ってくる。もとの世界から一緒に飛ばされてきたもので、確かこの中に予備のアクセサリーが入っていたはずだ。
ポーチをがさごそあさる私を、紅茶のカップごしにウォルが見ている。
「あった……、これならどうですか?」
テーブルの上に、丸くてころんとしたイヤリングを載せる。
「……透明感があって、きらきらしているわね」
「水晶の中に花が入っているように見えるけれど、この不思議なものはなんだい?」
「これは、レジンアクセサリーです」
「レジン……?」
レジン、という言葉はこの世界にはまだないらしく、ウォルが慣れない外国語のようにおうむ返しする。
「もとの世界にあった装飾品で、透明度の高い樹脂のようなものを固めるんです。中にはドライフラワーとか、ビーズなんかを入れたりして作るんですけど」
首をかしげるふたりに、分かりやすい言葉を選びつつ説明する。
「水晶ではなく、樹脂なのか。それなら確かに宝石ではないね。――手に取ってもいいかい?」
「はい、もちろん」
「私も片方いいかしら」
クラレットとウォルが、イヤリングを片方ずつ手に取ってしげしげと眺めている。
「これはもとの世界の友達が作ってくれたもので、中に小さな薔薇とビーズを入れてくれました」
まんまるでシンプルなイヤリングは誕生日プレゼントでもらったもので、いつでもつけられるように常にポーチに入れていた。この世界に来てからはなくすのが怖くてつけていなかったけれど、何がどう役に立つかわからないものだ。