ひとみ




あたしが彼を探すのは簡単だった。



いつも一際目立って、みんなの中心にいるから。



あたしは息を切らして、彼の前に立った。



そして、腕を引いて、空いた教室に入った。



隼人は、あたしを珍しい生き物を見たように見つめた。



あたしにもう笑いかけてくれないのね・・・



目を閉じた。



こんな顔を見るために、あたしは彼を拒んだんじゃない。






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