ひとみ
想いでに浸れば浸るほど、あたしは前を向けなくなる。
ダメだ。
目を覚ますためにあたしはコーヒーを口に流し込んだ。
苦い、そして冷たい。
いつの間にか、コーヒーを持った左手は冷え切って、代わりに隼人くんと繋いだ右手が温かかった。
あたしの心を映し出すかのように、空はあっというまに曇ってしまい、雨が降り出した。
「隼人くん、濡れちゃうよ。」
あたしの声に、隼人くんは急いで起きて、自分のタオルケットをあたしにかけた。
「はやく入ろう。今夜は止まないな・・・」
傘持ってきてないや・・・
「今夜は客室にでも泊まっていって。いつでもあけておくから、好きに使って。」
その言葉と同時に、あたしはお風呂場に詰め込まれた。
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