ひとみ




「あたしはまだいるから、隼人くんは先に戻れば?」



隼人はとても悲しそうな顔をして言った。



「風邪ひかないようにね、」



握っていた手を離した。



あたしは去っていく隼人を見ていた。



差し伸べられたその手をあたしは自ら手放した。






.
< 96 / 134 >

この作品をシェア

pagetop