【番外編 完】愛を知らない彼
私の生きがい 〜千花〜
「待ってー」
「うわぁーん」

都会の片隅で、にぎやかに響く子ども達の声。
ここが私、森沢千花の職場。
大学を卒業して、念願の幼稚園教諭になって二年。毎日泥まみれになりながら、充実した日々を送っている。


「千花せんせー。一緒にお砂場行こうよ!」
「うん、いいよ。今日は何をしようか?」
「お団子作りたい!」

道路に面した庭の端の砂場で、ぴっかぴかのお団子を作っていると、一人、また一人と子ども達が寄ってくる。

「千花先生すごい!つるつるピカピカのお団子だ!」
「私もいれてー」
「僕は先生の上ー」
なんて、座っている私の背中によじ登る子もいる。
服も体も砂まみれ。
でも、そんなこと全く気にならないぐらい、この仕事が楽しくて仕方がない。
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