【番外編 完】愛を知らない彼
「千花さんは、すごく責任感の強い方なんですね。話すことで少しはすっきりしましたか?」

「はい。長々とすみません。少し、心が軽くなりました」

「それはよかった。もしよろしかったら、たまにこうして会っていただけませんか?あなたのことをもっと知りたいし、私のこともあなたに知ってもらいたいと思って」

「それは……」

「千花さんのことが気になるんです。でも、いきなり言われても困ってしまいますよね」

突然のことに、言葉がすぐに出てこない。
ただ、この人は悪い人ではないことは伝わってくる。そして何より、こうして話を聞いてもらって嬉しく思ったのも事実。

「私でよろしかったら。またこうして話を聞いてください」


この日は、連絡先を交換して別れた。
自宅に着いて、改めてお礼のメールをすると、すぐさま電話がかかってきた。

「すみません。なんだか声を聞きたくて、思わずかけてしまいました」

見えない相手に、恥ずかしさから俯いてしまった。
思いをストレートに伝えてくる神谷さんには、どきどきさせられっぱなしだ。
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