【番外編 完】愛を知らない彼
仕事を終えて、門を出た所で空を見上げた。やっと暑さも落ち着いて、秋らしい夕日に目を細めた。
神谷さんは今頃ロンドンでお仕事を頑張っているのよね。時差ってどれぐらいだったけしら?

なんだか、仕事や家事をしていないと、ついつい神谷さんの事を考えてしまう。
とっても素敵な人だし、そんな人に自分の事が気になるなんて言われたら、当然意識してしまう。
まだまだ、彼の事はよく知らないんだけど……

これまでに私が付き合ったのは1人だけ。
学生の頃、アルバイト先の本屋で知り合った3歳上の社員で、1年以上付き合っていた。
でも、彼の転勤や自分の就職活動の忙しさですれ違いが多くなり、お別れすることになった。
当時は悲しさも大きかったものの、新生活への不安や期待も大きくて、すぐに気持ちは落ち着いていった。
恋愛経験はその1人だけだから、神谷さんの事を意識しつつあるものの、この先どんな展開を迎えるのか、想像も追いつかない。
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