【番外編 完】愛を知らない彼
近づく距離 〜千花〜
ーそして迎えた土曜日ー


デートの行き先は、私の希望で水族館に行くことになった。


何度も変なところはないか、鏡の前で確認していると、康介さんからメールがきた。
急いで外に出ると、黒い車にもたれて立つ康介さんがいた。

「おはよう」

「お、おはようございます」

少し俯きがちに近づくと、康介さんも歩み寄ってきた。

「今日の服装も素敵だね。さあ、乗って」

「あ、ありがとう」

促されるまま助手席に乗った。
康介さんの車は、座り心地がとってもよくて、心なしか緊張がほぐれた。

「康介さん、車を出してくれてありがとう。水族館、すごく楽しみです!」

「僕も、すごく楽しみだよ。それじゃあ、出発するよ」
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