【番外編 完】愛を知らない彼
康介さんの運転は、とても滑らかで安心して乗っていられた。
道中は、仕事のことやこれから向かう水族館のことわ話した。
途中、会話が途切れても気まずくもなく、自然体でいられた。

「不思議だなあ。もっと緊張するかと思ったけど、千花といると自然体でいられる」

「私も、同じことを思ってたの」

同じ気持ちだったことが嬉しかった。
でも、なんだか気恥ずかしくて、少し俯いてしまう。

「千花」

顔を上げると、優しい目をした康介さんがいた。
そしてゆっくり顔を近づけると、そっと口づけされた。

「誰かといてこんなにくつろいだ気持ちになるのは初めてかもしれない」

恥ずかしさで真っ赤になって俯く私の髪を耳にかけ、頬に触れられた。

「今日は、いっぱい楽しもう」
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