【番外編 完】愛を知らない彼
ベッドに座ったまま、たくさんキスをされた。
そのうち、そっと押し倒された。

「千花、好きだ。どうしようもないぐらい、君のことが好きなんだ」

「私も、康介さんのことが好き。大好き」


それから、何度も何度も私の名前を呼んでくれた。私も、必死にそれに応えた。



「……ん……」

なんとなく体が重くて目を開けると、目の前にはさっきまで何度も求め合った、愛しい人の穏やかな寝顔があった。
私の体にしっかりと腕を巻きつけて、なんだか甘えるように、私の肩にすり寄って眠っていた。
今日改めて知ったのは、康介さんはいつも男らしいのに、ふとした時に甘えたような一面を見せる。
きっと、私しか知らないそんな姿が、なんだか可愛くて愛おしさが増す。
言葉にできないほどの幸福を味わいながら、再び目を閉じた。
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