【番外編 完】愛を知らない彼
月曜日、園に着くとすぐに由美ちゃんに声をかけられた。

「千花先生、何かいいことありました?なんだか幸せいっぱいっていう顔ですが?」

「えっ?」

驚いた。
由美ちゃんったら、鋭すぎる。

「付き合うことになったとか?」

「う、うん。そうなの」

「うわぁー千佳先生、おめでとうございます!あっ、愛子先生、聞いてくださーい」

「聞こえてたわよ。千花先生、よかったわね。これこらますます、仕事も張り合いが出てきそうね。さあ、お仕事よ。子ども達が来るわ」




それこら平日はお互いに仕事を頑張り、週末はどちらかの家に泊まるという日々が続いた。
海外の取引先とやりとりしている康介さんは、帰りが遅くなったり、週末も仕事になったりすることもあった。
でも、会うたびに言葉や態度で好きだと伝えてくれるから、不満はない。
私も、恥ずかしながらもそれに応える。
穏やかで幸せな康介さんとの時間が、かけがえのないものに思えた。
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