【番外編 完】愛を知らない彼
やると決めたら、康介さんの行動は速かった。
次の週末、私は長年住み慣れた部屋を解約して、康介さんの部屋へ引っ越した。

彼の部屋は、私の住んでいた所よりも随分広い。
康介さんは、あまり使っていなかった一部屋を私の部屋にしてくれた。
そして、一緒に寝られるようにと、大きなベッドも用意してくれていた。


毎日一緒にご飯を食べて、一緒のベッドで眠る日々は本当に幸せで、夢のようだった。

「千花、毎日千花と一緒にいられて、本当に幸せだよ」

「私も。康介さん、ずっと一緒にいてね」

「もちろん。この部屋なら、千花の職場への距離も変わらないし、結婚しても不都合なくすごせるね」

「大好きな仕事ができて、大好きな康介さんと一緒にいられて本当に幸せ」

「将来のことだけど、子どもを作る時期を考えれば、このまますぐに結婚しても問題はなさそうだね。千花、この間は先になってもかまわないって言ったけど、僕は早く千花と結婚したい」

「そんな風に言ってもらえて、ちゃんと私のことも考えてくれてありがとう。私も、早く結婚したい」

「それじゃあ、年明けにでも千花のご両親に挨拶に行こう」

「うん。都合を聞いておくね」
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