【番外編 完】愛を知らない彼
一緒に暮らしていて、千花が自分に心を許しきっているのが嬉しい。

千花はよく「子ども扱いしないで!」と言う。
子ども扱いをしたいんじゃない。
そう言って軽くふくれる彼女が可愛くて仕方がない。
だからついついからかってしまうこともある。
これじゃあまるで、好きな子をいじめる小学生じゃないか。
まともに恋愛ができなかったから、不器用な愛し方しかできないのかもしれない。
とにかく、千花のことが好きで好きでたまらない。
できることなら、自分の目の届くところにいつもいて欲しい。

そう思いつつ、本当は自分の方が千花に甘えている。
物理的にも精神的にも。
千花は、いつも美味しい食事を作ってくれる。
家事はできる方がやると言いつつ、圧倒的に千花がやることが多い。
千花は、仕事をしていたご両親の代わりによく家事を手伝っていたから、慣れているし苦にならないと言う。
せめてもと、休日は自分も手伝うようにしている。
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