【番外編 完】愛を知らない彼
出会い 〜康介〜
朝の通勤ラッシュが少し落ち着いた頃、出勤のため、駅に向かって歩いて行く。
その途中にあるにじいろ幼稚園から、子ども達のにぎやかな声が聞こえてくる。
特に子どもは好きでも嫌いでもない。
ただ、楽しそうな子ども達の声を公害だという、意見には賛成できない。

園の横を通る時はいつも、ほんの数十秒足を止めてしまう。

「千花先生、一緒に遊ぼう!」

そう呼ばれて、いつも笑顔を絶やさない彼女を見つめてしまう。
31歳の自分よりいくらか若いだろう彼女を、初めて見かけた時から気になっている。、でも、声をかけるには至らない。

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