【番外編 完】愛を知らない彼
「……もしもし」

「もしもし、千花か?よかった、出てくれた。今空港に着いたところなんだ。ここのところ、電話をしてもメールをしても反応がなかったから心配してたんだ。何かあったの?」

「それは……」


『康介、お帰り!!』


……えっ?女の人の声。
園田さんの声に似ている。

「ごめん、千花。同僚が来てるみたいだ。千花、今部屋にいる?これから帰るから、どうしたのか話をしてくれる?」

「……はい」

そう言って、電話が切れた。
同僚って……やっぱり園田さんだったんだ。
園田さん、空港に迎えに行ってたんだ。
婚約者なんだもんね。

私には、疲れてるだろうから、部屋で待っててって出張に行く時から言われてた。
園田さんと鉢合わせしないようにするだめだったの?

いくら考えても、悪い方にしか捉えられない。
でも、はっきりさせなきゃ。
別れることになるのかもしれない。
怖くて仕方がない。
でも、私は最後まで康介さんを信じていたい。
私は、マンションへ行く覚悟をした。
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