【番外編 完】愛を知らない彼
「千花、まずはさっきのことを話させて。さっき一緒にいたのは、同僚の園田さんだ。いきなり押しかけられて、向こうから抱きつかれたんだ」

「でも、電話で……園田さん、空港で康介さんを出迎えてたよね?」

「それは少し違う。園田さんが言うには、たまたま用があって近くにいたから、僕のことを思い出して来てたみたいなんだ。お茶に誘われたんだけど、断って帰ってきたらマンションまで追いかけてきたみたいだ」

「園田さんは、康介さんの本当の婚約者じゃないの?」

「なんでそんな話しになってるんだ?」

「……数日前、マンションに園田さんが来たの。近くの喫茶店で話したんだけど……」

私は園田さんに言われたことをそのまま伝えた。
話し終えると、康介さんはひどく驚いた顔をしていた。

「なんだって……」

そう呟くと、少し考えてから康介さんが話し出した。
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