【番外編 完】愛を知らない彼
結婚してからも、康介さんは「好きだ」とよく言葉で伝えてくれる。
「僕の本心だから、いつも伝えたいんだよ。以前の僕だったら結婚するなんてありえないと思っていた。でも、千花と出会って変わったんだ。一生一緒にいたい相手なんだから、思っていることはちゃんと伝えたい。千花には、僕のことを知っていて欲しいし、千花のことを全部知っていたい。だから、いつも自分の気持ちを伝えるんだよ」
それは、私が初めて康介さんと出会ったあの日、康介さんに言われた言葉と同じだ。
私のことを知りたいし、自分のことを知って欲しいと。
私のことを知りたいのは、私を大切にしたいから。
自分のことを知って欲しいのは、自分を愛して欲しいから。
私は、そんなちょっぴり寂しがりやな康介さんを心の底から愛している。
「康介さん、愛しています。これからもずっと一緒にいようね」
気恥ずかしけど、私も気持ちを素直に伝える。
「僕も千花を愛してる。僕はもう、千花なしでは生きていけない」
そう言って、私を強く抱きしめてくれた。
END