【番外編 完】愛を知らない彼
「康介さん、お待たせ」

「ああ、じゃあ行こうか」

さっきの様子は気のせいだったかな?
康介さんはいつものように優しい笑顔を見せていた。

この日は、近所に新しくできたフレンチレストランに行くことにしていた。

「康介さん、とっても雰囲気のいいお店だね」

「本当だね。千花は何を頼む?」

「うーん……」

優柔不断か私は、なかなか決められずにいた。

「じゃあ、僕はおまかせコースにしようかな」

「私もそれにする!!」

「ワインはどうする?」

「私はお酒に弱いし、明日も仕事があるからやめておくね」

「そう?僕は少しだけ飲もうかな」

注文を終えて、まずは乾杯をした。

「千花、今日はどうだった?」

「今日はね、クラスの子達と折り紙をしてたんだけど、何人かの子が先生にあげるって、一生懸命折ったものをプレゼントしてくれたのよ」

「さすが千花先生!みんなに慕われているんだね」

「ありがとう。でも、私なんてまだまだだよ。今はまだ、子どもが好きっていう気持ちだけで動いてるから」

「相変わらず、千花は頑張り屋だね」

「康介さんは、今日どうだった?」
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