【番外編 完】愛を知らない彼
「それは、康介さんのおかげだよ」

「僕の?」

「そう。康介さんはいつも、言葉で〝好きだ〟って伝えてくれるでしょ?だから私は康介さんを信じられるんだよ」

「……千花、疑ってごめん」

「私の方こそ、勘違いさせてごめんね。元彼と話してるなんて、逆の立場ならいい気がしないもんね」

「いや、もう大丈夫だ。千花がちゃんと話してくれたから」

「誤解が解けて安心した。ただ……康介さんに話していないことが……」

「ち、千花、どうした?何か隠してるの?」

落ち着いたはずの康介さんが、あたふたしだした。

「実は……お腹に赤ちゃんがいるみたいなの」

「えっ……」

康介さんは、目を見開いて固まってしまったみたい。

「病院にはまだ行ってないんだけどね。もしかしてと思って、昨日検査薬で調べてみたら、陽性反応が出たの」
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