【番外編 完】愛を知らない彼
「千花、俊介、昼過ぎには帰れるはずだから。行ってくるよ」

後ろ髪を引かれるようにして出かけていった康介さん。
早く帰れたら、散歩しながら一緒にお買い物に行きたいなあ。
そんなことを考えながら、俊介に添い寝をしてポンポンとしていた。




「ん……あ、れ……」



ふと目を開けたら、目の前に康介さんの顔があった。

「こ、康介さん!?あれ?」

「ああ、千花、目が覚めた?」

「うそ、寝ちゃってた?今何時?俊介は?」

そう言って動き出そうとすると、康介さんに腰をぎゅっと抱き寄せられた。

「こ、康介さん?」

「千花、大丈夫。まだ1時だし、俊介はよく眠っているよ」

「1時?康介さん食事は食べた?用意しないと」

再びもがき出した私を、康介さんはさっきより強く抱きしめた。

「千花、食事はとりあえずいいから、もう少しこうしていて」

「でも……」
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