優しい不良なんて矛盾すぎる
隣の席
酷い音を立ててドアが開いたと思ったら、先程校門の前で見た金パのタケナカらしき男子が入ってきた。

ドカドカと歩いて千里の隣の空いている席に来ては、
これまたデカい音を立てて椅子を引き、机の上に足を置いて座る。


香水でも付けているのだろうか。微かにいい匂いがする。


先 「えーっと、その遅れてきた奴が竹中昴だ」


竹中 昴 (たけなか すばる) …

その名前を聞いた途端華のJK生活が砕け散ったのが目に見えた。

何故1年?何故隣?何故何故何故……。

答えのない質問が脳内を埋め尽くす。


先 「そいつは2年になろうかという時に不祥事を起こして留年した奴だが仲良くしてやってくれよ。」

先生がそうぶっきらぼうに呟いた瞬間だった。

竹中が席を立って先生の所へ行き、先生の体を力強く押した。

教室中が騒がしくなり始める。


竹 「おいセンコー…。」

先 「わ、悪かった。留年の事は話したらダメだよな。」


先生が素早く折れて竹中に謝る。

だが竹中は「は?そーじゃねーよ。」と言って先生の足元を指差した。

千里も気になって竹中の指差した所を見る。

そこには1本のペンが落ちていた。


竹 「これセンコーのだろ。間違って踏んで割ったらどーすんだよ。」


竹中はそう言いながらペンを拾い先生に渡すと、さっきと同じように無駄に大きな足音を鳴らして教室を去って行った。
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