シックザール
ハルトさんは、みんなに囲まれながら「楽しみだな〜」と話している。やはり彼は、みんなの輪の中にいる方がいい。

「ねえ、ジーナも行こうよ」

目が合ったと思った刹那、ハルトさんはそう言った。あたしは驚き、みんなは苦い表情を見せる。

「……あ、あたしは……」

みんなの表情を見れば、来てほしくないのはよくわかる。あたしは断ろうと口を開いた。

「じゃあ、仕事終わったら着替えて行こう！楽しみだな〜」

あたしが答えるよりも早く、ハルトさんが笑顔でそう言いどこかへ行ってしまった。みんなも、あたしも驚く。

本当は、ハルトさんが誘ってくれて嬉しいはずなの。それなのにどこか悲しい。小さな歪みがいつかハルトさんを呑んでしまうと思ったから。

気持ちが混じって、よくわからない。



あたしは歓迎会に行っていいのかわからないけど、一応支度はすることにした。

薄い緑のオーバーサイズシャツと、紺のテーパードパンツを履く。普段はあまりしないメイクもし、髪もきれいに結った。
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