シックザール
あたしの撃った銃弾は、相手の心臓を貫いていたようだ。相手はその場に倒れピクリとも動かない。でも、そんなことはどうでもいい。

「警視殿!しっかりしてください!誰か!!」

無線で助けを呼び、ハルトさんは担架に乗せられて病院へと運ばれる。

また、あたしが生き残るの?



真夜中の病室。あたしは眠り続けるハルトさんの手を握った。

手術は無事に成功した。しかし、ハルトさんは目を覚まさないままもう二週間以上経っている。目を覚まさない可能性も、容体が急変することもある。油断はできない。

ズキン、ズキンと眠り続けるハルトさんを見るたびに心が痛む。また仲間を失ってしまうかもしれない。仲間を……。

仲間を失うたびに、痛みを感じた。仲間を全員失って、痛みを忘れた。その痛みを、また思い出さなければならない。

ハルトさんの頰にそっと触れる。温かな血が通ったその頰。あたしの名前を呼んでくれた唇。思い出すたびに、目の前の全てがぼやけていくの。
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