シックザール
あたしたちが入れない高級なお店で女たちは買い物を楽しんでいる。バッグ、ジュエリー、ドレス、靴……。一つだけでなく、三つも四つも平気で女たちは買っていく。

あたしは苛立ち、女たちを殴りたくなった。あたしたちが食べるものに困っている間、この女たちは優雅にソファでくつろいでいられるのだから。

「ジーナ、思い出したことがあるの」

今にも女たちに飛びかかりそうなあたしに、ミアが言った。

「マルコたちも仕事を失って、みんなでどうすればいいのか集まっているんだって」

あたしの目が、驚きで見開かれた。



あたしとミアは、マルコたちが集まっている場所へとすぐに向かった。

マルコ・パイクロフト、ピーター・カンダーソン、グラント・レンズの三人とも仲が良かった。五人でよく学生の頃は遊んだりした。

町外れの小さな廃屋。学生の頃みんなで見つけたちょっとした秘密基地に、三人はいた。三人とも表情が暗い。

「久しぶり」

あたしとミアが声をかけると、「ジーナ!ミア!」と三人は同時に驚く。
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