サヨナラのために
文化祭1日目が終了した。
さすがに何もしなさすぎたので、せめてもの償いに教室のゴミを持って体育館裏のゴミ捨て場まで行く。
「…神野先輩」
誰もいないと思っていたから、突然名前を呼ばれて心臓がドクリ、と音を立てた。
「あ…佐々木、さん」
振り向くと、そこには佐々木さんが立っていて。
「誠也、ちゃんと来た?バカだね、シフト忘れるなんて…」
「一緒でしたよね?…岡本先輩と、一緒でしたよね?」
息が、止まるかと思った。
「なんで…」
否定しようとして、私は言葉を失う。
佐々木さんは、真っ直ぐな目で私を見て、
泣いていた。
大粒の綺麗な涙を、ポロポロこぼして。
心臓が、掴まれたかのように痛い。
「岡本先輩の、制服から…っ、神野、先輩の、香水の香りがして…」
心臓が、うるさいくらいに鳴っている。
どうする?しらばっくれる?
「佐々木さん、私ね…」
声が、続かない。
なんて言うの?
ただの幼なじみだよ、誠也にとっては、私なんて妹みたいな存在で…
…私、誠也のことが好きなの。