サヨナラのために


この子に、奪われるんだ。



私にはないものを、全部持っているこの子に。



なぜか、強く、そう感じた。



「…佐々木さん」


声は、少しも、震えていなくて。


「もう、全部、終わりだから」


終わりに、するから。



他人事のように思う。





サヨナラの時が、来たんだ。



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