サヨナラのために


文化祭2日目。


私は、体調が悪いと嘘をついて、部屋に閉じこもった。


ベッドの中で目を閉じれば、佐々木さんの泣き顔と誠也の笑顔が交互に浮かんでくる。


選択肢なんて、ない。


道は、1つだけ。


何度目か分からない涙が頬を伝う。


泣いたらダメだ。


明日は絶対、泣いたらダメ。


うまくコントロールできるようにしなきゃいけないのに。


「っ…やだっ…止まって、よ…」



こんな酷い顔じゃ、誠也と笑って会えない。


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