サヨナラのために
「よかった、今年も美羽と誕生日過ごすのは無理だと思ってたから」
少しだけ悲しそうな表情をした誠也。
…去年、初めて一緒に祝わなかったこと、思い出してるのかな。
誠也との関係を壊して、もう、今まで通りではいられないんだって思って。
それからいろいろなこと、避けて。
突き放して。
でも、結局あなたがいないとダメで。
中途半端な決意を、ずるずる引きずって。
あなたを、たくさん、傷つけたね。
「美羽?」
私は、誠也にそっと腕を伸ばして、強く、抱きしめた。
「誕生日プレゼント」
「え?」
「誠也のしたいこと、しよう」
ふわふわの髪に、顔を埋める。
大好きなあなたの匂いに包まれて。
「…キス、したい」
私は今日、あなたとサヨナラする。