サヨナラのために
「…み、う」
「せ、いや…」
誠也はちゃんと優しくて、朦朧とする意識の中、彼の顔をしっかりと目で追った。
好き。
大好き。
本当に、大好きなんだよ。
「せ、いや…せい、や」
言えない気持ちの代わりに、何度も名前を呼んだ。
その度に強くなる快感に、悲鳴が出そうになる。
「み、う…顔見せて」
顔を隠していた手を顔の上でしっかりと拘束され、声が止まらない私の唇を誠也のそれが塞いだ。
甘い甘い、キス。
最初で最後の、キス。
嫌だよ。
サヨナラなんて、嫌だよ。
こんなに、好きなのに。
ずっとずっと、好きなのに…
離れなきゃいけないなんて、嫌だよ。