サヨナラのために
「私たち、幼なじみだからって、ずっと一緒にいたよね。あの日、私が間違えてからもずっと、そんな変な理由に甘えて、ずるずるここまできた」
私はもう誠也のことを幼なじみとしてなんて見ることはできなくて。
誠也は、私を傷つけたくなくて。
このまま、誠也が情に流されてくれたら。
きっと、私たちはこれからもずっと一緒にする。
「でも、もうダメだよ。終わりにしなきゃ」
誠也に、もう嘘はつかせたくない。
情が、愛に変わる、なんて。
誠也にだけは言って欲しくない。
「じゃあ俺たち、何になるの?」
笑って幼なじみだよってあなたに言われるのを、私はもう耐えられない。
「なににも、なれない」
もう私たちは、どこにも行けない。
そんなの、あの日からずっと、分かってた。