サヨナラのために


「私はもう誠也に話しかけない。だから、誠也も私に話しかけないで」


恋人でも、幼なじみでも、友達でもない。


なかったことになるっていうのは、そういうことだ。


「それでも、俺たちは幼なじみだよ」


揺るがない、誠也の言葉に、私は思い知る。



あなたと私の気持ちは、やっぱり交わることはなかったんだって。


「ごめん、誠也。勝手で、ごめん。最低でごめん」


私は、あなたの何にもなれない。


「だから、こんなクズ女は忘れてください」


お願いだから、もう。


「美羽…」


これ以上、私を惑わさないで。



息を吸って、ゆっくりと吐き出す。



完璧な笑顔を作って。


< 127 / 153 >

この作品をシェア

pagetop