サヨナラのために
「私はもう誠也に話しかけない。だから、誠也も私に話しかけないで」
恋人でも、幼なじみでも、友達でもない。
なかったことになるっていうのは、そういうことだ。
「それでも、俺たちは幼なじみだよ」
揺るがない、誠也の言葉に、私は思い知る。
あなたと私の気持ちは、やっぱり交わることはなかったんだって。
「ごめん、誠也。勝手で、ごめん。最低でごめん」
私は、あなたの何にもなれない。
「だから、こんなクズ女は忘れてください」
お願いだから、もう。
「美羽…」
これ以上、私を惑わさないで。
息を吸って、ゆっくりと吐き出す。
完璧な笑顔を作って。