サヨナラのために
誠也の誕生日から2ヶ月が経った。
あの日から一度も、私は誠也と話していない。
誠也のいない毎日は、私にとってはモノトーンで。
なにをしてても、楽しいと思えない。
ふとした瞬間に湧き上がってくるのは、寂しさ。
何かが足りなくて。
何かに触れたくて。
ずっと、ずっと、寂しい。
放課後、図書館の窓からこっそりサッカーをする誠也の姿を見る。
それだけで、少しだけ息ができる気がする。
ポケットに入れていた携帯が震える。
「もしもし」
「美羽ちゃん?孝宏だよ、今から遊ばないー?」
「いいですよ、どこいます?」
「俺教室出たばっかだから、俺が行く。どこ?」
「図書室です」
「ん、了解」
そう言うと、電話は切れた。
私は窓から離れて鞄を肩にかける。