サヨナラのために


誠也の誕生日から2ヶ月が経った。


あの日から一度も、私は誠也と話していない。


誠也のいない毎日は、私にとってはモノトーンで。


なにをしてても、楽しいと思えない。


ふとした瞬間に湧き上がってくるのは、寂しさ。


何かが足りなくて。


何かに触れたくて。


ずっと、ずっと、寂しい。


放課後、図書館の窓からこっそりサッカーをする誠也の姿を見る。


それだけで、少しだけ息ができる気がする。



ポケットに入れていた携帯が震える。


「もしもし」


「美羽ちゃん?孝宏だよ、今から遊ばないー?」


「いいですよ、どこいます?」


「俺教室出たばっかだから、俺が行く。どこ?」


「図書室です」


「ん、了解」


そう言うと、電話は切れた。


私は窓から離れて鞄を肩にかける。

< 130 / 153 >

この作品をシェア

pagetop