サヨナラのために
分かってたのに。
覚悟なんて、ずっとしていたのに。
なのに、どうしてこんな気持ちになるの。
こんな、裏切られたような気持ちになるなんて。
自分の身勝手さに、絶望する。
私は、少しも分かってなかった。
ううん、思い上がってた。
他の女の子と同じラインに立てたら、誠也が自分を女の子として見てくれる、なんて。
そんな、幻想を、抱いて。
幼なじみの肩書がなかったら、私は誠也と話すことすらできないのに。
恋どころか、話すことすらできなかった。
なにを、勘違いしていたんだろう。
「こんなに、近くにいるのにね」
私たちの間にある隔たりは、気が遠くなるほど、大きい。