サヨナラのために


わからない。誠也がなにを考えてるのか。


どこかに行こう、なんて言わないで。


そんなことしたら、本当にわからなくなる。


ずるい私は、まるであなたの彼女かのように、ひとときだって離れたくなくなる。


そんな隙を、与えないで。


そばにいたい。今すぐにでも追いかけて、抱きしめて、ずっとずっと隣にいたい。


いつか、あなたに好きな人ができて、私がいらなくなる日まで。


サヨナラのときまで、どうか。


そんな都合のいいことを、まだ、私は思ってしまう。

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