サヨナラのために


震える手で携帯を取り出し、番号を呼び出す。


「もしもし、美羽?何よこんな時間に」


怪訝そうなお母さんの声に、私はすぐに言葉を発する。


「誠也たちは!?行った!?」


「今ちょうど挨拶終わったところよ。もう出るってさっき言ってたわ。あ、でも誠也くんは電車で行くって…」


「わかった、ありがとう!」


最後まで聞き終わらないうちに電話を切り、急いで走り、校門を飛び出した。


誠也、私、ずっと嘘ついてたの。


逃げてたの、ずっと。




私はやっぱりどうしようもないほどクズで最低だけど。



でも、あなたのことが好きだっていう気持ちは、誰にも負けない自信があるよ。


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