サヨナラのために
「誠也?」
暖かい陽気。無人のホーム。
あなたは、もう、いない。
好きだったよ。
誠也の悲しそうな笑顔が、離れない。
「う、あ」
一番近くにいたのに、私はなにもわかってなかった。
いつも逃げてばかりで、言葉足らずで。
誠也の気持ちなんて、一度だって、聞こうとしなかった。
もういない。
もう会えない。
「うあああああああああ」
声を上げながら私は泣いた。
誰にも届かない泣き声は、空に吸い込まれていく。
ごめんなさい、誠也。
私たちの気持ちは、交わっていたのに。
やっぱり壊したのは、私だった。
ねえ、誠也。
私、言えてないことがあるよ。
これまでも、この先もずっと、私はあなただけを愛します。
もう二度と、会えなかったとしても。
この気持ちは、絶対に誰にも負けないよ。
だから、神様、お願いします。
誠也を幸せにして。
他にはなにもいらないから。
あなたが幸せなることだけが、私の生きる意味。