サヨナラのために
「あの!!」
走って前に立ち塞がる。
見開いた目。
ああ、やっぱり。
頬が濡れてるのを感じる。
こんなにも、熱い涙が流れるのは。
「突然、ごめんなさい。私は、神野美羽といいます」
あなたは、わからないかもしれない。
忘れているかもしれない。
でも。
私には、分かる。
ねえ、私、ずっと言えてなかったことがあるよ。
「出会った日から、あなたのことが好きでした!今も、これからも、世界で一番っ…」
もう迷わない、もう逃げない。
私の知っている、優しい笑顔が、そっと目の前で咲く。
「えっと、とりあえず…連絡先、交換してください!」
もう、逃げない。
あなたと出会えた奇跡を。
あなたのくれた、たくさんの想いを。
わたしは、絶対に忘れないよ。
fin.