サヨナラのために


テスト週間が終わって、部活動が再開した。


誠也と帰ることがなくなるのは、ホッとするはずなのに、なぜか少し不安にもなる。


「みてみて、岡本くんだよ」「かっこいいねぇ」


クラスの子が教室から校庭をのぞいてそう言う。


チラリと私ものぞくと、サッカー部の練習が始まろうとしていた。


誠也がどこにいるかはすぐにわかる。


わかりすぎて、嫌なくらい。


「あ…」


ジャージを着た女の子。誠也と何か話していて…いや、あれは何か教えてるのかな。


あ、あの子。


この前の子だ。


私に誠也と付き合ってるか聞いてきた、一年生。佐々木さん、だっけ。


マネージャーになったのかな。


熱心に誠也の話に耳を傾けるその姿に、胸がざわつく。


私は目をそらして、教室を出た。

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