サヨナラのために
「ただいま」
「おかえりー、あんたちょっとこれ持ってって」
帰るなり渡された、お皿に盛り付けられてラップをされた肉じゃが。
「となり?」
「そう、今日せいちゃん一人なんだって。一緒に食べてきなさいよ」
「おかずこれだけ?」
「あとは適当にあんたがつくんなさい」
それくらいできるよね?、と言わんばかりの目に言い返す言葉もなく。
私はカバンを置いて、家を出る。
歩いて30秒の距離。
小学校の頃から、変わらない。
玄関の横の三番目の植木鉢を持ち上げると、そこにはちゃんと鍵があった。