サヨナラのために




「…う、美羽?」


声に、ハッとして体を起こす。


「美羽、大丈夫?」


「…ごめん、寝てた」


どうやら誠也のベッドによりかかったまま寝てしまったみたいだ。


「ごめんね、いつ帰ってきた?」


「今帰ったばっかりだよ」


誠也の指が伸びてきて、そっと目の下に触れる。


「…怖い夢でもみた?」


涙で目が濡れている。


「うん、ちょっと」


時計を見ると、8時になっていた。


「今日、遅かったね」

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